−実は僕、シンガー・ソング・プロレスラーなんですよ、有名な。桑田佳祐本人によるエッセイ集。
自身の生い立ちのようなものではなく、
メンバー紹介や小林克也さんとの対談、
そして自身によるアルバム発売当時の総括の再録など、
桑田佳祐自身の音楽性で固められている印象が強い1冊だ。
ただ本の大半は「熱い胸騒ぎ」から「綺麗」までの全曲の歌詞で占められており、
しかも右開きなので1曲で3ページぐらい取ってしまっているので、
アルバムとシングルを全部持っている人にとっては正直余計な感もある。
しかし、それでもこの1冊に関しては、
全アルバム、シングルを所有している人であっても買う
価値があると言っていいだろう。
それは何故か、そう、未だに公式において歌詞が未発表である
「奥歯を食いしばれ」、「アブダ・カ・ダブラ(TYPE.2)」、
「ブルースへようこそ」、「I AM A PANTY(Yes, I am)」の
4曲の歌詞が正式に公開されている唯一の書籍であるからだ。
今ではネット上で紹介されているサイトもあるものの、
もちろん本でいつでも手軽に読めた方が良いに決まっているので、
ファンであればこれだけで買う価値があると言っていいだろう。
因みに歌詞が掲載されていない理由については色々憶測が飛び交ったらしいですが、
本人によればスケジュールが間に合わなかった、と言う事らしい。
しかし後2つは別の理由があったとしてもおかしくはなく、
特に「ブルースへようこそ」はおそらく邦楽史上最低最悪の歌詞なだけに、
個人的にはこれでは掲載されていないのは当たり前だ、と思ったほどだ。
後半には茅ヶ崎、ハワイ、プロレスなど、
ひとつひとつのテーマに対する自身の思い入れや考えを綴っているページが
紹介されているが、
ゲームセンターの欄に「あれは非行の温床」と語っているのが少し悲しかった。
まあ84年と言えば「ゲームセンター=不良の溜まり場」
と言う方程式が当然として成り立っていた時代だっただけに、
その答えは何ら不思議ではないのだが、
その時代を考えたらよくここまでイメージをアップする事が出来たものだと改めて思う。
発売時期:1984年4月
購入時期:2005年、初版を楽天フリマにて。