
日本プロ野球60年の歴史において達成された、ノーヒットノーランの試合をまとめた作品。
しかし戦前〜終戦直後はフィルムが少ないと言う事もあるせいか、
東西対抗戦の試合などを紹介しつつ、
その間において達成されたノーヒッター試合を紹介する、と言う構成となっている。
スタルヒン、川上、大下、別所など、
終戦直後の困難な時代を支えてきた偉大なる名選手の姿が数々映し出されているのだが、
小学生の頃から季刊ベースボール・マガジンを愛読していたほど、
プロ野球史に関心のあった私にとってはまさに感激の一言であった。
日本のプロ野球の人気が低下した云々と言われ、
野球を軽く見る人の存在が増えた昨今であるが、
そういう人には終戦直後の貧しい人々に希望を与えたものが何だったのか、
改めてこれら貴重なフィルムを見て良く思い直して欲しいものだ。
またスタルヒンに関しては戦後だけでなく、
戦前、ユニフォームからしておそらく昭和13年頃の映像も収録されている。
キャッチボールからバックネット裏、
そして上手、横手、下手の3方向から投げている映像など、
私にとっては初めて見る映像ばかりであり、これも実に感激したものだ。
戦前でもこれだけ残っているのであれば、
当然沢村も応召されなければ試合の映像が記録されていた可能性があると言う訳であり、
そう考えると改めて戦争を憎む気持ちが膨れ上がる。
昭和30年以降にもなるとノーヒッター試合の映像も増え始め、
40年代ではあの外木場義郎の完全試合や、
あまりにも有名な江夏豊の延長ノーヒッター・サヨナラ本塁打なども収録されている。
外木場投手の映像はこのビデオにおいて初めて見る事が叶ったのだが、
最後の速球は今の速球投手と同等、もしくはそれ以上と思えるほどであり、
全体のレベルは今より低くても、
トップクラスの選手であれば今の選手と比較してもひけはとらないであろう、
と実感させるに十分な映像であった。
後半ではノーヒッターだけでなく仁科投手の9回2死からの初ヒットなど、
寸前で打たれてしまった投手の紹介などもなされている。
80年代以降になると個人的にもほとんど覚えている試合ばかりであるが、
その中で最も印象的なのはやはり87年の近藤真一の初登板ノーヒッターだろう。
中継はさる事情により見る事が出来なかったが、
十代特集となった翌月発売の季刊ベースボール・マガジンでは大々的に紹介されており、
今でも非常に印象深い試合のひとつとなっている。
また金田正一や稲尾和久などの大選手も同誌において知る事となり、
彼らが残した圧倒的な成績が私をプロ野球史に興味を抱かせるきっかけであった。
個人的な回想が長くなったが、
プロ野球史に興味がある人であれば確実に楽しめる作品なので、是非お勧めしたい一作だ。